社会的市場経済の目標 4

わたしは、円高ドル安現象が急速に進み、日米の経済摩擦のきしみが本格的に音をたてはじめていた1986年の夏に、東京で教授と接する機会を持ちました。


その時に「ハーバードと比べてニューヨークの生活はいかがですか」というわたしの問いに、教授は


「東京もひどいらしいが、ニューヨークはモノが高くってひどいものだよ」


・・・と肩をすぼめたあと、言葉をつないで、


「私の禁欲的な世界観とはいささか違うのですが、消費は消費なのです。


食べ物やテレビと同じように、教育も消費であり、科学も消費なのです。


私は日本の方々にテレビを今の何倍も買いなさいといっているのではなく、生活の中で非常に大切だと思う住宅事情、教育の充実、そして労働時間の短縮をなさればいいと思います」


・・・と語って、消費のすすめをわたしに説いてくれました。


この中で「消費は消費なり」と教授がいう信念は、経済学の父アダム・スミスが「消費は、いっさいの生産の唯一の目標であり、目的であるという文脈と見事に呼応しています。


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